子どもはあっという間に言葉を覚える、というのは嘘!バイリンガルになるには何年かかるのか?

 
 
Bonjour à tous! 渋柿です。
 
 
私、子どもって外国の学校に通って外国語漬けになったら、2、3ヶ月で外国語を覚えて喋りはじめるから心配いらないわ〜と思っていたんです。きっと、これから海外駐在や海外移住、留学しようってお宅のお父さんお母さんは同じように考えている方も多いのではないでしょうか。1年も行けばペラッペラ!って。
 
 
確かに、子どもは大人より早いですよ。尤も、子どもの性格や、何歳で海外移住するかにもよります。でも、うちの子や他の日日家庭のお子さんを見ていても、あっという間に外国語を覚えるっていうことはないんじゃないかなぁ。うちの子は、2ヶ月経っても3ヶ月経ってもなかなか喋るようになんてなりませんでしたよ。今でこそペラペラですが。
 
 
そこで、最初の数年間の歩みを振り返ってみました。
 
 
 

毎日泣く

 
 
渋柿家では、うちの子が幼稚園の年少の時にフランスに来ました。4歳になってすぐの頃です。もともと新しいもの好きで社交的な性格ですから、初日こそルンルンで登園しました。
 
 
しかし、3日間幼稚園に通ってみると、言葉が全然わからない!これは大変だ!!ということに気づいたのでしょう。泣いて嫌がるようになりました。朝、幼稚園の前で泣いたり、教室の前で泣いたり、教室に入ってから大泣きしてゲロを吐いたり。夜は、「友達がいないのが寂しい」と言っては泣いていたりしました。
 
 
母としては、いつになったら友達を作って楽しく幼稚園で過ごせるようになるのか、って毎日悶々としていましたよ。フランスの幼稚園に転入するまえは、うちの子は社交的な性格だから、って心配していなかったんです。
 
 
 

最初の1年間は親子ともに我慢の時

 
 
この状況を、在仏の長い子持ちの知人に相談しましたら、
 
 
「最初の1年間は、親子ともに我慢の時!」
 
 
とアドバイスを頂きました。
 
 
長年、日本からフランスにやってきた子どもたちを観察していると、1年過ぎるあたりからのびのびと生活できるようになると感じるそうです。そして、それまでは親もハラハラしながら見守るしかない、とのこと。
 
 
子どもが学校でうまく馴染めず、学校の先生に相談したけれど改善せず、お母さんもそれに悩んだ挙句、お父さんをフランスに置いて母子で日本に帰ってしまうご家庭もあったといいます。
 
 
「そうか、そんなにかかるのか〜。長いけど、まあ仕方ないか。」
 
 
と、私は腹をくくりました。
 
 
 

「気になることは先生に相談したほうが良い」

 
 
そして、もう一つのアドバイスは、
 
 
「フランス的には、何も言わないと問題がないととらえらる。したがって、黙っていれば自分の子どもに心配ごとがあっても特に気をつけておいてもらうことは期待できない。気になることがあれば先生に相談したほうが良い。相談することに遠慮する必要はなし。」
 
 
ということ。
 
 
私は、うちの子の状況について伝えるために、担任の先生に手紙を書きました。確か、転入して2週目だったと思います。まだ言葉が全然わからなくて、夜や登園前に泣いているから、ちょっと気をつけて見てやってほしい、私たちは、たね子がフランスを好きになってくれることを望んでいる、的な内容です。
 
 
すると、どうでしょう。
翌日から、うちの子に対する担任の先生と補助の先生の接し方がガラリと変わりました。他の子供達同様の接し方ではなく、よく気をつけて見ていてくれるようになりました。朝もよく声をかけてくれるし、お迎えに行くと、先生の方から今日はどんな様子だったか教えてくれるようになりました。
 
 
 

転機は本人自らの意思で

 
 
それから数日後の帰り道、「今日もぜんぜん楽しいことがなかった!」とたね子が言いました。困ったなと思いながらも、「1日に1つだけ、楽しいことを見つけてみたら?」とアドバイスしてみました。
 
 
 
それからさらに数日後の、ある日の帰り道、
 
 
「イユランも最初は泣いていたけど、だんだん日本語が上手になって友達もできてきた。たね子も1日に1つ楽しいことを見つけるようにがんばるよ。
 
 
と、低いテンションながら、自ら宣言したのです。
 
 
イユラン君とは、日本の幼稚園で同じ組にいた友達です。両親と一緒に外国から来たばかりで日本語ができないお子さんでした。自分の苦しい状況と重ね合わせたのでしょう。
 
 
その日を境に、全く泣かなくなりました。
 
 
 

まず、どんな言葉をしゃべるようになるのか

 
 
それからというもの、「外で遊んだ」とか「滑り台ですべった」とか、「今日の給食のデザートが美味しかった」など、ささやかな「楽しかったこと、よかったこと」の報告をするようになりました。
 
 
1ヶ月くらいすると、遊ぶときに連発する言葉が、家でも口から出てくるようになりました。例えば、
 
 
 C’est pas ça!
 
 
とか、
 
 
Comme ça!
 
 
です。
家で人形遊びをしているときに、このような短いフレーズが出てくるようになりました。幼稚園でそればっかり言っているからでしょう。
 
 
 

6ヶ月経っても、友達ができず、まだ一人でポツ〜ンと

 
 
フランスの子どもの友達関係は、日本とちょっと違います。日本では、できるだけ満遍なく多くの友達付き合いをしていきます。転校生がくると興味を持って近づいてくる子がいたり、気を使って色々と話しかけてくれる子がクラスにいますよね。
 
 
しかし、フランスでは、一旦友達になると、その友達以外とは全く遊びません。その特定の友達と絆を深める方向に集中するので、他の子には目もくれません。ですから、一年の途中で転校すると、既に出来上がっている友達関係の中に入り込む隙がないのです。このフランス的友達システムは余計な気を使わないで心地よく過ごせるという点で、合理的とも考えられます。
 
 
6ヶ月後のある日、幼稚園のイベントのお手伝いにいきました。楽しいイベントのはずなのに、うちの子はずーっと一人でポッツーン。その時の写真をみると、虚ろな目をして写っています。
 
 
6ヶ月経つのに、まだ一人なのか〜。まだまだ辛抱だ。長いな〜。
 
と切なくなりましたよ。
 
 
 

クラス替え後に、友達ができ始める

 
 
 
2ヶ月に及ぶ夏休みが終わり、年中に進級しました。
 
 
さすがにクラス替え後には、ガチガチの友達関係にも隙間ができるようです。1〜2ヶ月もすると、たね子の口からクラスメイトの名前が出てくるようになりました。フランス語はどのくらいわかっているのか、どのくらいコミュニケーションを取れているのか、いまいちよくわかりません。しかし、楽しそうに過ごしている様子が伝わってきたので、とりあえずホッとしたのがこの頃です。
 
 
フランスに来て1年近く経った頃です。うちの子の話によると、この頃、クラスの友達に「フランス語が上手になってきたね」と言われたそうです。
 
 
 

1年1ヶ月を過ぎた頃、親子面談で先生にほめられた!

 
 
さらにそれから2ヶ月後。
ちょうどフランスにきてから1年1ヶ月を過ぎた頃に、担任の先生との親子面談がありました。
 
 
フランスの幼稚園は、大人が送り迎えをすることが義務になっていますので、毎日先生と顔を合わせます。連絡帳も毎日持って行きますが、送り迎えの際に先生と簡単な会話を交わすので、親と先生のコミュニケーションは取りやすい環境にあります。ですから、改めて面談と言われても、「毎日会っているのに何を話すのかしら?」なんて思っていました。
 
 
 
先生は開口一番、
 
 
「最近、たね子はクラスメイトと非常に積極的にコミュニケーションを取るようになってきました。とても良いです。前とは違って、よく喋るようにもなってきました。日本語訛りが強くて、何を言っているのかよくわからないこともありますが、とても積極的で、とても良いです!
 
 
と、オーバーリアクションで大いに褒めていただきました。
 
 
いや〜、意外でびっくりしました。楽しく過ごすようになっていたなとは感じていましたが、先生に驚かれるほど進歩したとは知りませんでしたから。
 
 
1年辛抱した甲斐があったな〜!!!!!
 
最初の1年は辛抱の時、というのは本当だったー! 
 
 
と、知人のアドバイスを思い返しました。
 
 
 

主語+動詞+前置詞+名詞の文で話そうとする

 
 
それから3ヶ月後のある日、スイスに出かけました。たね子に、「私はスイスに行きました、ってフランス語でなんていうの?」と聞くと、一瞬考えてから
 
 
J’ai allé au Suisse.
 
 
と答えるではありませんか。間違えだらけだけど、知っている構造や単語から推測して、このように答えたのだということがわかりました。主語の次に動詞、その次に前置詞を入れてから国名を並べるところなど、なんとなく形になってきていることが感じられました。
 
 
 

年長の担任にも褒められた

 
 
それから、夏休みを経て、年長に進級しました。年長クラスになって4ヶ月後、またもや担任との親子面談がありました。フランスに来て丸2年になる頃です。この頃には、結構喋るようにもなっていたし、友達もできて楽しく過ごしているので、まあ、困ったことは言われないだろうな、と予想していました。
 
 
先生は開口一番、
 
 
「とっても良いです!歌も詩もよく覚えるし、筆記体でアルファベットも書けます。発音がうまくいかないこともありますが、小学校1年生で発音を徹底的に習うので、来年はもっと伸びるでしょう!来年が楽しみです。特に問題なしです!」
 
 
と、普段はあまり笑わない先生に、満面の笑みで褒めていただきました。
 
 
そうか。手先が器用だから、書く、とか覚える、といった勉強的な要素が入ってくるとこの子は強いのか。先生が言うように、小学生になって勉強が始まったら本領を発揮するのかも、と感じました。
 
 
 

先生の質問に手を挙げて答える

 
 
それからさらに3ヶ月後、学校のイベントのお手伝いに行った時のことです。うちの子のクラスで手伝いの準備をしてるとき、先生が子供達に本を読み聞かせしていました。話の途中で、先生が子供達に質問をしています。すると、うちの子が手を挙げて、指名されました。
 
 
「なんとかかんとか〜(単語ではなくて文章で)」
(↑遠くで見ていたので、何を言ったのか聞こえなかった)
 
先生「その通り!」
 
 
本の内容を理解して、質問に答えられるようになっていることがわかりました。
 
 
 

ピカピカの一年生 小学校に入学

 
 
無事に幼稚園を卒園し、小学一年生になりました。
フランス語の授業は毎日あります。全体の授業の半分を占めると思われるほど、フランス語には力が入っています。1年かけて、発音と綴りの関係を叩き込まれます。また、常に筆記体で書くことも要求されます。
 
 
この頃には、フランス語でのコミュニケーションに大きな問題がなくなっていたので、授業には特に苦労することなくついていくことができました。毎日の宿題もコツコツとこなして、力をつけていきました。
 
 
フランスの小学一年生の宿題といえば、音読、詩の暗誦、ディクテ(聞きとって書く)です。
 
 
12月に成績表をもらってきました。なんと、フランス語は全部の項目で4段階評価の4。フランスに来て3年近く経ったころです。
 
 
その後、3月と6月の成績表でも、すべての項目で4をもらってきました。
発音と綴りの関係がわかってきたので、フランス語の本を読めるようにもなってきました。
 
 

小一の担任にもほめられる

 
 
6月の成績表には、「素晴らしい!!!来年もこの調子で!」と書かれていました。フランスへ来て、3年半。コミュニケーションをとるだけでなく、勉強にもついていけるようになっていることがわかりました。
 
 
また、この頃には、フランス語の文章を初見でも正しく音読できるようになっていました。
 
 
学年末の学芸会を見に行くと、たね子が最初から最後まで重要な役割を任されていました。先生やクラスメイトから厚く信頼されているということがわかりました。
 
 
 

まとめ

 
 
子供は勝手にあっという間に言葉を覚える!というのは嘘です。こんな嘘を平然と言うのは、どんな楽天家か、どんなほったらかしの親か、子供が一言でも外国語をしゃべると舞い上がる親、くらいではないでしょうか。
 
 
最初の1年は、親子ともに辛抱の年、ということです。子供は長い間、様々な葛藤を繰り返します。トライアンドエラーを繰り返し、1年過ぎてようやく形になり、2年過ぎてまあまあ良くなり、3年すぎてようやく大きな問題なく学校の課題をこなせるようになります。
 
 
ですから、焦らないことです。最初の1年は、淡々と過ごすことです。気づいたら、逞しく育っています。でも、転入前には最低限、Où sont les toilettes? Oui, Non くらいは教えておいてあげましょう。
 
 
1年程の海外滞在の場合は、お子さんの外国語には期待しないことです。事前の用意など必要ありません。まして、帰国後の外国語の維持など、考えても仕方ありません。楽しく異文化交流をし、日本とは違う空気を感じれば、生涯の良い思い出となるでしょう。
 
A bientôt!

ABOUTこの記事をかいた人

渋柿

日日家庭の妻。フランスの公立小学校に通う子供の母であり夫は日本人。フランスに移住して5年。投資歴10年。音楽歴は30年以上。フランス語はアリアンスでC1クラスに入るレベル。国際結婚でも駐在奥様でもない独自の視点で、フランスから海外移住や学校生活など様々な話題を渋くお届けしています。