フランス流親切な適所適材の振り分け方

Bonjour à tous! 渋柿@franceponaiseです。

先日こんなことを書きました。

学校では最低限のことしかしない、塾はほとんどないし家庭教師はもったいない、公立行けば授業料無料なのだから私立に行かせるのももったいない、

こうやって、教育費をケチることから、中間層から抜け出すきっかけを逃してしまうのではないかという内容です。

しかし、これって、とても日本的考えなのかもしれない、とも思います。誰でも訓練すればできるようになるだから漢字や計算を徹底的に反復復習する、落ちこぼれたら(落ちこぼれなくても)塾に行って底上げをする。

でも、こうやって全体を底上げすると、本来よくできる人のライバルが増えるではないですか。

どういうことかというと、周りが特に頑張らなかったら、よくできる人が自然と際立つのです。そして、よくできる人たちのライバルが減ります。つまり、もう少し頑張れば出来るはずの人が参入してくると、競争率が高くなります。

子供をフランスの学校に通わせていて、ああ、こうやって必要最低限のことしかやらずに(それはそれでいいのですが)、親も子供も口先だけでは色々言うけれど、特に頑張ることもなく、できる人だけができれば良くて、それ以外の人はそれなりに向いている分野を探せばいいということなのだろうな、そういう社会の仕組みと人々のマインドなのだろうな、と実感します。

これはよく観察してみると、特にコンセルバトワールでも顕著です。先生は生徒に練習するように言いますが、真面目に練習する生徒は少数で、上級まで上がってきてら、今まで授業ではあまり訓練することのなかった聴音や和声でふるいにかける。どういうことかというと、急にレベルをあげて、ここでも「ついてこられる人だけついてこればよい」となり、自然とついてこられる人だけがこの壁を突破する仕組みになっている。いくら楽器がまあまあ弾けても、聴音が苦手(つまりソルフェージュ力が弱い)となるとこの壁を突破できず、この壁前で停滞し、時間切れとなる(卒業時期になったり、大学進学時期になる)。

そもそも聴音なんて子供の頃から訓練すれば誰でもある程度まではできるようになるものですが、それをコンセルバトワールでは必要最低限しかやらないし、聴音や理論が苦手であれば、個人レッスンを頼めば少しはよくなると思うけれど、そういう文化はない。それなのに上級になると、いきなり和声聴音なんかをやらされる。これは、我が子がもらってくる宿題を見たり、知り合いのお子さんの様子をみるとわかります。結局、ここでも自然と本人が向いていたり、親が音楽畑で家で指導できる家庭の子しか生き残らなくなります。

あまりショックを与えずに他の道を考えさせる、と言うこともできると思います。そういう状態を自然と作っておけば、生徒たちも「そろそろこの辺かな」と感じるでしょう。

必要最低限しか与えない、頑張らない、競争しない、できる人だけ生き残れば良い、他の人はそれぞれに向いている分野を見つけてください、こちらから三行半を突きつけることはありません、自分で「自分はこの辺かな」と思ったら去って行ってください。親切でもあるかな。

これはこれでいいと思います。理にかなっている。無駄も少ない。無駄な努力をしなくて済む。

日本にいる頃には、こんなことを考えたことがなかったから、アハ体験並の驚きでもあります。日本は皆が努力しすぎで、どこへ行っても競争率が高いのです。どこまで頑張っても、博士号をとってもライバルがいっぱいで就職が難しく、せっかくとった学位と全く関係ない仕事をするしかなくなったりします。大変勿体無いです。しかし、社会の仕組みがそうなっているからその流れに乗るしかありません。

それに対して、フランスでは子供が小学校に入ってから社会に出るまで、「努力や競争ほとんどなしで自然と振り分ける」ような流れの中に乗ることになります。色々見聞きしていると、国で育てた人材を無駄にするということもしないようです。うまく設計されているなと思います。これもエリート層の仕事の結果なのでしょうね。

それでもまあ、定期的にバカンスがくるし、食べ物は美味しいし、春からいい季節がやってくるし、税金は高いけど社会保障は充実しているからなんとか生きていけるし、ある方向ではうまく行かなくても、人柄よく、何か見つけて就職口を見つけられれば全てよし!となるのでしょう。

フランス最高!全てよし!なのです。努力なんて馬鹿らしくなりますね。しかし、だからこそ、ちょっとでも努力したら成果を出しやすいとも思うのですが 笑。これが日本的なのかな。

A bientôt!

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この記事を書いた人

フランスに教育目的で移住して10年超。子供が大きくなった今では渡仏当初の興奮もすっかり冷め、低空飛行の毎日。

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