Bonjour à tous! 渋柿です。
幼稚園年中のときには、ソニア・ドローネの作風を真似ました。

年長の12月ころには、ゴッホの「カラスのいる麦畑 Champ de blé aux corbeaux」を題材に絵を描きました。ゴッホ最晩年の作品です。
Champ de blé aux corbeaux ってどんな作品?
極めて危機的な精神状態にある時の作品です
ゴッホの最晩年の作品。この頃、パリ北西オーベール=シュル=オワーズにおいて、友人であり精神科医でもあったポール・ガジェ医師の療養院で生活を始めていました。それまで生活していたサン=レミのカトリック精神療養院での生活のせいで、精神状態を悪化させたと判断したからです。
暗く、不穏な色の空と、それぞれの方向に続く三本の道は、決心がつかずに迷いのある様子を表しています。黒いカラスは、死を予感させます。(Wiki frより)
この絵はまるで、その精神状態をそのまま反映させたように、陰鬱で不吉な雰囲気に満ちています。
本作を描いた数週間後の7月27日に、胸部へピストルを打ち込み自殺。このことからも、この作品を描いた時のゴッホが極めて危機的な精神状態にあったことを窺い知ることができます。
このような背景事情のある絵画でさえも、6歳児の美術の時間に取り上げてしまうのがフランス風。子供相手でも容赦しません。

Champ de blé aux corbeaux 1890年7月 ゴッホ美術館(アムステルダム)
子供達はどのように絵を描いたのか
まず、ゴッホについて知り、絵を見ます。
それから、先生が指定した青・黄色・黒の三色を使って、先生が指示する順番で絵を描いていきます。
みんな同じような絵になりますが、カラスの大きさが違ったり、カラスの数が多かったり少なかったり。少しづつ個性がでています。
また、ゴッホの筆使いを真似て、凹凸があるような仕上がりです。アクリル絵の具で油彩風に描いています。
最後に、廊下に展示します。
まとめ
ソニア・ドローネの画風を真似たときと同様に、画家について知る、作風を真似る、(できれば)実際に見る、という活動を通して、子供は美術に親しみを持つようになるでしょう。そして、美術の楽しみ方を知り、それは人生を彩らせる一つの技術にもなるわけです、
「極めて精神状態が悪い」「ピストル自殺する数週間前の作品」「死を予感させる黒い鳥」などのキーワードで語られる絵画を、6歳児の美術の時間に取り上げるのがフランス風。
人間ってそういうときもあります、子供に隠す必要もないでしょう、むしろ人間理解につながります、ってことなのかなあと、私は勝手に理解いたしました。日本の幼稚園だったら、保護者会で問題になるのでは。
また、絵を描く時に、先生が色を指定して、書く順番まで指定するということもフランスではよくあります。日本の学校では題材だけ指定したら、後は「自由に描け」なんてよく言われます。私など、小・中学生の頃にそう言われて非常に困った経験があります。
今思えば、これは、アートに対する教育的教授の仕方が確立されていないことの表れではないかと思います。フランスにはそのノウハウがある。誇り高きアートの国ですから。だから、フランス的には、自由に描くばかりが絵ではない、画家のことを知ったり、教育的配慮により先生が描く順番や色まで指定することもあるよ、ということなのかと勝手に理解しています。

A bientôt!
おまけ
Vincent Willem van Gogh オランダのポスト印象派の画家
1853年3月30日オランダ 北ブラバント州フロート・ズンデルト生まれ
1890年7月29日フランス ヴァル=ドワーズ県オーヴェル=シュル=オワーズにて没