ロバート・カーセン演出『ドン・ジョヴァンニ』は大盛り上がり 主役のトーマス・ハンプソンから熱烈大サービスを受けたうちの娘

ドンジョヴァンニ

Bonjour à tous! 渋柿です。

 

今晩、ミラノスカラ座にて最終公演を迎える、ロバート・カーセン演出『ドン・ジョヴァンニ』。私たちは、その前の回に鑑賞いたしました。あと、6時間もすると最終公演がはじまりますね。

 

ミラノ座 ロバート・カーセン演出『ドン・ジョヴァンニ』について

 

2017年5月6日から6月6日まで

指揮      Paavo Järvi(2015年9月からNHK交響楽団主席指揮者)
演出      Robert Carsen
舞台装置    Michael Levine
衣装      Brigitte Reiffenstuel
照明      Robert Carsen and Peter Van Praet
振付      Philippe Giraudeau

 

CAST

Don Giovanni          Thomas Hampson
Commendatore(騎士長)    Tomasz Konieczny
Don Ottavio            Bernard Richter
Donna Anna           Hanna Elisabeth Müller
Donna Elvira                        Anett Fritsch
Leporello(ドン・ジョヴァンニの従者)    Luca Pisaroni
Zerlina                                Giulia Semenzato
Masetto                              Mattia Olivieri

 

大盛り上がりの3時間半! 楽しかった〜

 

オペラに詳しいわけではないので、見当違いのところもあるかもしれません。休憩時間入れて3時間半は、このような流れでしたよ。ネタバレありますのでご注意ください。

あらすじ

ものすごーく短く言うと、希世の色男が次々と女性にちょっかいを出し、最後に地獄に落ちる、という話です。今回の演出では、最後にドン・ジョヴァンニが地獄に落ちた後、それでは終わりませんでした。

 

前半 幕と鏡とパネルで演出

まず、トーマス・ハンプソン扮するドンジョヴァンニが、舞台の幕を引き下ろすと巨大な鏡が出現するところから始まりました。演出のRobert Carsenロバート・カーセンは、鏡と幕を使うのが特徴だとか。

 

スカラ座の客席を描いたパネルを多用しながら、劇が進行します。パネルに扉が付いていて、その扉から歌手が出入りさせたり、パネルの裏側を使ったり。これもこの演出家の特徴らしいです。

 

主役のドン・ジョヴァンニは着替えをしながら歌うシーンが多い。着替えながらよく歌えるなあと感心。家来のレポレロのコミカルさが面白い。ドン・ジョヴァンニとの掛け合いが多い。実際、この二人は義理の親子だそうですよ。

 

アンナ、エルヴィーラ、チェルリーナの女性歌手3人が、観客席へ入る扉から歌いながら入ってきて、平土間席の最前列でしばらくの間歌い続ける、という大サービス的演出もあり。ちょうど、私たちが座っているバルコニー席席の真下のドアから入ってきたので、驚きました。

 

第一幕の最後は、ドンジョヴァンニ邸での宴会のシーン。赤いドレスを来た歌手たちが歌い踊る。舞台上の楽団員も赤いドレスで演奏し大盛り上がりを見せ、最後は上から降りてくる幕が歌手たちの持っている刀を手から落とす、という演出。これもロバート・カーセンの特徴らしいです。

 

会場内が明るくなり、休憩時間に突入。子供はこの大盛り上がりっぷりにとても喜び、興奮していて、全く寝る気配はありませんでした。

 

休憩時間 30分 嬉しい誤算その1

休憩がてら、ロビーに出てみるとすごい人だかり。飲み物を飲もうかと思いましたが、すごい人なので、すぐに自分の席に戻って待機しました。どこの席のお客さんだかわかりませんが、このボックス内に入ってきて写真撮影をしていきます。

スカラ座

そして、予期せぬ嬉しい出来事の1つ目がありました。同じボックス内の隣の列3人が、この休憩時間中にお帰りになりました。子供2人とそのお父さんでした。この時点で夜10時近いですから限界だったのでしょう。

 

というわけで、後ろの列に座っていたうちのシェリーと、その隣に座っていた英語を喋る初老のムッシュが、隣の列の前方2席に移りました。二人ともとてもラッキー。こうして、後半は4人が定員8名の広々としたボックスの最前列で鑑賞することができました。

 

後半 ドン・ジョヴァンニにうちの娘が! 嬉しい誤算その2

 

うちの子供は全く寝る気配がなく、後半も見る気満々でした。

 

まず、レポレロとドンジョヴァンニが、平土間席の後方の扉から入ってきて歌います。と、レポレロが平土間席の最前列に座るマダムの手を取り立たせると、口にチューをして(!)、舞台右側の、オーケストラピットに張り出している場所に飛び乗り、舞台に上がります。会場内は大盛り上がり。

 

その後、トーマス・ハンプソン扮するドンジョヴァンニは、舞台左側の、オーケストラピットに張り出している場所に飛び乗りました。なんとそこは、私たちの座る席の真ん前です。

 

そして、なんとまあ、ドン・ジョヴァンニがうちの娘の手を取り、顎を触りながら歌うではありませんか!!!

 

これにはぶったまげました。そして、ボックス内は大盛り上がり。うちのシェリーの隣に座っていた英語を喋る初老のムッシュも大喜び。当然、会場内も大盛り上がり。

 

観客にお尻丸見え! パネルを多用し遠近法 石像になった騎士長が、バルコニー席中央で歌う

後半の演出の、ドンジョヴァンニが観客席に背を向けて座り、女をはべらせてワインを飲みながら舞台を見ているシーンでは、舞台を見ている最中にドン・ジョヴァンニがその女のスカートを脱がしてしまっていて、女が立つと客席にお尻が丸見えになる!という細かい演出があり、また大盛り上がり。念のため、この女役は、出演者に名を連ねている歌手ではありませんよ。

 

そして、その女がスカートが落ちたことに気づいて戻ってくるのですが、その時、舞台左側にいる私たちには、お尻側ではない前側も丸見えでした!でもちゃんと、大事な部分が見えないように肌と同じ色のものを履いていたと思いますよ、念のため。

 

最初にドン・ジョヴァンニに殺されて石像になった騎士長が歌うシーンでは、観客席の照明が落とされて、観客の知らない間に騎士長がバルコニー席中央の貴賓席にスタンバイしており、突然歌い出しました。客席後方から歌が聞こえてきたのでびっくり。そして、観客も大喜び。

 

そして、前半よりもパネルをさらに多用し、遠近法により舞台の上でオペラ座の観客席を再現していました。「観客が役者の目線」になれるという演出と思います。これも演出家ロバート・カーセンの特徴なのでしょうか。

 

ラストシーン 地獄に落ちたドン・ジョヴァンニ

 

原作では、プレイボーイのドン・ジョヴァンニが地獄に落ちると、悪い奴は地獄に落ちるんだ、めでたしめでたし、で終わるらしいです。

 

しかし、今回の演出では、ドン・ジョバンニが地獄に落ちた後、どういうわけか他の役者も全員地獄に落ちてゆきます。そして、落ちゆく他の役者と入れ替わるようにドン・ジョヴァンニが舞台奥からしらーっとタバコをふかしながら復活する、という終わり方でした。

 

「こういう希世の悪は、ただではくたばらないよ!」ということかな、と解釈いたしました。

Don Giovanni

 

カーテンコールでも、ドン・ジョヴァンニがうちの娘に!

 

大拍手のなか、カーテンコールが行われました。最後まで寝ないで熱心に見ていたうちの子供。トーマス・ハンプソン扮するドン・ジョヴァンニが、うちの子供に手を振ってくれました。いやー、嬉しいですね。

 

そしてこの後、なんとまた私たちの座っているボックス席の真ん前まで、うちの娘のおでこにチュー!をしに来てくれました。またしても、ボックス内は大盛り上がり。

 

というわけで、最後まで、いろんな意味で大盛り上がりして御開きとなりました。時間はすでに11時半を過ぎています。

 

ロビーに出る途中で、うちの娘は見知らぬご婦人から「よかったわねー!」と声をかけられていました。よかったよかった。

 

オペラの殿堂スカラ座の良い席で大盛り上がりのオペラを鑑賞し、現在ドン・ジョヴァンニをやらせたら世界で5本の指に入ると言われているトーマス・ハンプソンに熱烈サービスしていただけるとは、なんとラッキーなのでしょう。

 

かくして、興奮冷めやらぬままホテルに戻ったのでした。

 

A bientôt!

ABOUTこの記事をかいた人

渋柿

フランスの公立学校に通う子供の母であり夫は日本人。フランスに移住して5年以上。フランス語はアリアンスでC1クラスに入るレベル。国際結婚でも駐在奥様でもない独自の視点で、フランスから海外移住や学校生活など様々な話題を渋くお届けしています。