Bonjour à tous! 渋柿です。
コンセルヴァトワール(公立の音楽院のことです)では年間を通して数回の発表会があります。
先生の方針によっても違いがありますが、12月のクリスマス休暇の前の時期にはほとんどのクラスで発表会があるのではないのかな、と思うほど、発表会が目白押しです。
日本でピアノやバイオリンの発表会となると、半年から1年くらいの期間をかけて細かく練習して、当日はドレスを着て、ミスをしないように緊張をしながら弾いて、両親やジジババを呼んで、友達も呼んで、友達は花束とかプレゼントを持って演奏が終わると手渡しし、会場にもお花を飾り、先生にもお礼を渡して、伴奏をつけてもらったら伴奏者にもお礼をして、、、と一大イベントですよね。
大変ですが、親としても子供の成長が見られる楽しみな会です。
しかし、フランスのコンセルバトワールの発表会は全然様子が違います。
この記事では、コンセルヴァトワールでのうちの子供のクラス発表会や、友達の子供のクラス発表会など様々な発表会を見て発見したことや感じたことをまとめてみます。

日本とフランスの発表会の違いを10挙げてみる!
年間3回くらい発表会がある
日本の音楽教室では1年か2年に1回の発表会。
フランスのコンセルバトワールでは、年間3回から4回の勢いでクラス発表会が開催されています。
もっとも、先生の方針や楽器の特性によっても違いがありますが、3回はあって普通です。最初は驚きましたが、いまではもう驚きません。
練習期間が極端に短い
日本では半年から1年くらいかけて発表会用の曲を丹念に仕上げていきますよね。半年かけたとして、レッスン回数では20回くらいあるのではないかと思います。
しかし、フランスのコンセルバトワールでは、発表会が3ヶ月から4ヶ月に1度の頻度で開催されますし、学校と同じタイミングで2週間のバカンスが入ります。
ですから、一曲に半年もかけていられません。レッスン僅か6回から10回で発表会を迎えてしまいます。
うちの子供の場合、色々と不運が重なってしまった時にレッスン2回で本番を迎えたことがありました 笑。
バカンス前に弾く曲が決まっていたのですが、楽譜を注文したら品切れでバカンスが終わる頃に楽譜到着。
バカンス明けから本番までレッスンが3回受けられるはずでしたが、子供が風邪をひいて1回欠席してしまったので、練習期間わずか3週間、レッスン2回のみで本番となりました。
日本ではあり得ない状況です。
曲が仕上がっていなければ途中まで、または途中からの演奏もあり
最初の頃は、途中までの演奏の生徒がいるので、どうしたのかなと思いました。うちの子供も、途中からの演奏でもいいよ、と先生に言われたことがありました。
私は、全部を弾くと発表会にかかる時間が長くなりすぎるからわざと短縮しているのかと思いこんでいましたが、違いました。
ただ単に、練習期間が短いので、仕上がっていない場合は途中までの演奏でも有りということでした。
子供が途中までの演奏は嫌だから急いで仕上げるから最後まで弾きたいと先生に言ったら、それはそれで大丈夫とのことだったことから発覚しました。
完璧を求めないというか、臨機応変ですよね。
たどたどしい演奏もあり
日本の発表会だと、練習期間がたっぷりあるのと、熱心に練習する子供も多いし、練習しなければやめさせるという親もいるので、子供が大人顔負けの演奏をしたりするではないですか。
フランスでは練習期間が(日本に比べると)短いのも原因ですが、そもそもフランスの子供は練習熱心なこどもはとても少ないので、発表会だというのにたどたどしい演奏をする生徒も非常に多いです。
止まって途中でやめてしまうというたどたどしさではなくて、簡単な曲をたどたどしく最後まで弾く、という感じです。
普段着でOK
このように、年3回も発表会があるとなると、いちいちドレスなんて着ません。
ちょっと綺麗目なワンピースを着てくる子供もいますが、かなりの少数派です。ほとんどの生徒が普段着です。
成果発表というよりは人前で弾くのになれる為の会
日本の発表会だと、友達やおじいさんおばあさんの前での成果発表という感じです。先生にとっても、自分がちゃんと指導しているということを親の前で示す成果発表でもあるわけです。
演奏する方も、なるべくミスしないように、練習の成果が出せるようにと一生懸命です。
しかし、フランスのコンセルバトワールのように年に数回発表会があると、日本の発表会ほど一回一回に全力投球していられません。
もちろん、その時々で頑張って曲を仕上げて緊張感をもって演奏するのですが、年数回あるし普段着ということもあり、単に『人前で弾くのになれること』を重視しているように思われます。
友達を呼ぶ余裕無し
日本の発表会では、友達が花束をもって駆けつけてくれることがありますよね。親の立場でも、自分の子供がよく弾けると、自分の友達やその子供を招待したり、されたりというおつきあいがあることがあります。
しかし、フランスのコンセルバトワールの発表会では家族以外の人を呼ぶということはあまりしません。
だいたい自分の発表会がある時期には他のクラスも発表会をしているので、友達も忙しくていちいち他のクラスの発表会を見に来るということはほとんどありません。余裕がないのです。
うちの子供も友達のクラス発表会の情報をもらってくることがありますが、レッスンや自分の発表会もあるので、行く余裕がありません。
また、コンセルバトワール外の、例えば学校の友達をわざわざ呼ぶということもありません。
今まで見てきたように、発表会自体がそれほど特別な会でもないし、音楽に興味のある子は大抵コンセルバトワールに通っていて、通っていない子はほとんど音楽に興味がなかったり、他のことで忙しかったりします。
発表会の参加費用は無し
日本だと、コンサートホールを借りて行うことがほとんどだと思います。そのため、発表会に参加するのに参加費用を支払うのが普通だと思います。
私が子供の頃で、1万5千円くらいの参加費用だった記憶があります。豪華な会場で豪華なピアノを設えるような発表会をする教室だとこの金額では収まらないと思います。
フランスのコンセルバトワールでは、発表会はコンセルバトワール内の少し広めの教室やコンサート用ホールで行うので、追加費用は一切かかりません。
それでも、ピアノはスタインウェイのグランドピアノだったりします(教室にもよりますが)。
先生や伴奏に対する金品のお礼は無し
日本の発表会では、先生にお礼する義務はなくても、会を盛り上げるために一番大変なのはやはり先生だというのが見て取れるので、お礼をしなくてはならない雰囲気になったり、父母の有志でお礼を集めたりすると思います。
また、ピアノ伴奏が必要な楽器の場合、伴奏者をつけての合わせ稽古や本番のためにお礼をしなくてはならないことがほとんどと思います。
しかし、フランスのコンセルバトワールでは一切不要です。
クリスマス前の発表会では、先生にプレゼントを渡す子供も僅かながらいます。でも、それは発表会のお礼というより、単純にクリスマスプレゼントです。
弾く順番は先生の方針により様々
日本でも先生によって違いがあると思いますが、よくあるのは初心者から順に弾くパターンだと思います。私が通っていた音楽教室でもそうでした。
これだと、毎年毎年弾く順番が似たり寄ったりになってしまいます。
フランスのコンセルバトワール(CRR)では、1人の先生が、全くの初心者の子供から、パリ(CNSMDP)やリヨンの高等音楽院(CNSMDL)を受験するレベルの大きな生徒までを幅広く担当します。ですから、クラス発表会となると、最初と最後のレベルにかなりの差があります。
弾けない順に並べてしまうと、前半はかなりつまらない状況になってしまいます。
それを鑑みているのかどうかはわかりませんが、いろいろ見てみると、上手な生徒を少しづつ混ぜながら、全体としては弾けない生徒から弾ける生徒の順番にしている発表会が多いような気がします。
発表会の回数が多いことのメリット
一回一回の演奏が日本の発表会ほどの完成度にならないことに、日本人の親としては最初は不安を覚えました。
しかし、この状況になれてくるとメリットも見えてきました。
それは、1回くらい失敗しても、また次の発表会がすぐにくるから、1回の失敗をずっと引きずらなくても済むことです。回数をこなすと、うまく弾けない時もあれば、うまく弾ける時もあります。
だから、人前で弾くことに慣れるし、次がすぐにあるので失敗を恐れなくなります。これは大きなメリットだと思います。
日本のように1年か2年に一回の大舞台でお金も時間もかかっているとなると、そこで失敗してしまうと子供のダメージも大きいです。
例えば、私の通っていた教室では、本番で暗譜が飛んでしまった生徒がショックのあまり発表会後に楽器をやめてしまったことがありました。
まとめ 親が楽しみにしているということは万国共通だよね
色々と違いをあげましたが、コンセルバトワールでの発表会は、回数が多いという点が日本の発表会との最大の違いだと思います。
ですから、日本のように発表の場というよりはむしろ、人前で弾く度胸をつける場というコンセプトになっているのだと思います。
それは、コンセルバトワールが公的教育機関であって、そこで生徒として生き残るためには定期的にある(数年に1回ずつある)テストをクリアしなくては生き残れない場所だからだと思います。
こんなに頻繁でも、子供の演奏がたどたどしくても、聞きにくる親は楽しみにしているということは、万国共通と思います。
A bientôt!

